次の問題は、コリオリ力を考えるために作った問題です。
「図1のように回転可能な台Aの上に、円の中心で下向きに固定されたビデオカメラBがあり、円の中心を通る線分l(青色破線)の両側にP,Qがいる。最初は台Aを回転させずにPがQに向かって白いボールを投げたとき、ビデオカメラBでボールの運動を撮影したところボールは図2の矢印のように運動した。図3のように一定の速さで台を反時計回りに回転させながら同じようにPさんがQさんに向かってボールを投げたとき、ビデオカメラBで見たボールはどのような運動をすると考えられるか。矢印を用いて示せ。(回答用紙の図4に直接書き込むこと。定性的に合っていれば多少正確でなくともよい。)
なお、ボールが台Aの円周上に到達したとき、台Aは 1/2 回転していたものとする。
また、ビデオカメラBは台Aに固定されているので一緒に回転し、これにより図4のビデオカメラBから見るとP,Qは回転しているようには見えずいつまでも同じ位置にいるように見える。
(答えは下にあります)
このように、回転する円台の上でボールを投げボールをキャッチしたとき、ビデオカメラで見た軌道は上の通りになります。
では実際にシミュレーションしてみましょう。ビデオカメラで見た様子ではなく、円台の回転にあわせずに回転する様子を見たとき、どのように見えるかを見てみます。
(クリックするとシミュレーションが流れます)
このように、ボールは上方向にまっすぐ飛びつつ、投げた人は回転にあわせて反対側に回り最終的にキャッチします。ではこれをビデオカメラで見るとどうなるか。
(クリックするとシミュレーションが流れます)
このように、まるでボールが右向きの力を受けながら進んでいるように見えます。実際に力はかかっていませんが、回転にあわせてボールを観察したことによりみかけ上、力が発生しているように見えています。
実はこれは地球上でも起きています(コリオリ力といいます)。我々は地球上で物事を観察しますから、大規模な大気の運動や長い距離を航行する飛翔体などはみかけ上常に右向きの力を受けているように見えるわけです。高気圧の地上での吹き出しの風が右方向に曲がりながら吹くのはコリオリ力の影響を受けているからですね。コリオリ力、不思議な(みかけ上の)力です。