今回は大学進学を手にし当教室を卒業した子の話です。たまたま近況を耳にする機会があり、一つ驚きの事実を知ったので紹介します。

さて、この子は現代文の読解問題が苦手で当教室に来てくれました。確かに、問題を解いてもらっても自信を持って正答に辿り着けない様子でした。そこで私は「お家でとってる新聞の天声人語(読売)や凡語(京都)などを毎日切り取って。内容を読んだら、筆者の主張部分に傍線を引いてきて。」という宿題を課しました。

国語が苦手な子は、語彙力が不足したまま漫然と文章を読んでいるケースがあります。そのような子は文の意味や文章の繋がりを理解し想像力を働かせながら筆者の主張を読み解く力が不足しています。ですから天声人語などの理路整然かつ表現豊かに書かれた文章を読むことで読解力を伸ばすことを目指しました。暫く宿題を継続した結果、最初は理解不能だった筆者の主張も徐々に読めるようになりました。

最終的にその子は大学入試に合格し無事進学したのですが、その後驚くべきことを耳にしました。この子は大学生になってからもこの宿題を続けていたのです。今やこの子がどれくらいの実力を得たのかを推し量る術はありませんが、いずれにしてもこのひたむきな努力や向上心に私は感銘を受けざるを得ませんでした。

力を伸ばすには適切な練習を継続することが肝要です。読解力に関しても問題を漫然と解いても力はつきません。必要なことは、普段から文章に接し、想像を巡らし、理解しようと努めることです。そうすれば実力はついてきます。さらに誰かと話し合えれば完璧でしょう

教室通信Vol.3「記憶力を伸ばす生活の仕方」
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